琳派と印象派展 アーティゾン美術館

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17〜18世紀にかけて生まれた日本の琳派の作品と、19世紀後半〜20世紀初めのフランス印象派を対比した展覧会です。 

俵屋宗達の風神雷神図屏風は何度見ても迫力がありました。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一では描き方が異なっているのがよくわかります。特に水の表現ではそれぞれの特徴があり、興味を惹かれます。また、植物はそこにその植物があるような、そして季節を感じます。琳派の絵はわかりやすくデザインとしても勉強になります。特に、俵屋宗達の「蔦の細道図屛風」は金の背景と、緑のコントラストのシンプルなデザインでありつつも、左右を入れ替えても絵が成り立つ構図となっています。つまり絵を繰り返しつなぐことで、その山道が永遠に続くことを意味しており、そのアイデアと描き方には感嘆するほかありません。表現の大きさは有限であっても伝えたいことはその大きさにはとどまる必要はないということです。物を形にするときの考え方として、とても勉強になりました。こちらに左右をつなぎ変えた絵を掲載してくれているサイトがあります。

フランス印象派については、19世紀後半〜20世紀初めにかけてのモネらの絵の展示がされています。印象派時代は、欧州各国が競って世界を植民地化している時期でした。フランスは権力者の支配による帝政から民衆が中心となる共和政への移行期、そしてパリの街が整備された時期でした。庶民の目線に重きが置かれた時でもあったせいか、日常生活の描写や街の風景が印象的です。

アーティゾン美術館所蔵の作品として、黒田清輝《針仕事》や岡田三郎助《婦人像》などもありました。これらの絵はフランス印象派と同じ時期である20世紀初めに描かれた絵なので、これらの絵と印象派の絵も比べてしまいます。印象派とは異なる日本人らしい色の出し方、精細さを感じました。

 

 

 

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