京都国立博物館にて、大阪・関西万博開催記念として開催されている特別展 日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―です。興味深い作品が数多く展示されていました。その中でも特に印象に残ったのは、屋宗達の風神雷神図屏風です。
風神雷神図屏風において、私は風神と雷神それぞれの構図がとても魅力的だと感じました。二体のあいだに広がる空間が、絶妙な「間(ま)」として機能し、画面全体に緊張感と余白の美を与えています。実際に現物を見て強く印象に残ったのは、そのダイナミックな表現が筆使いによって生み出されていることです。たとえば、風神と雷神の髪は極めて精密な筆致で描かれているのに対し、周囲の雲はにじんだような、輪郭をぼかした筆遣いで描かれています。このように「精緻」と「粗さ」を対比させた描写が、画面に生き生きとした動きと緊張感を与えており、大変印象的でした。この繊細な筆使いの対比は、複製や写真ではなかなか伝わりません。現物を目の前にして初めて感じられる表現であると思いす。
このほか、 国宝指定の家形飾環頭という柄の先端部分に取り付けられる環状の装飾で、 古墳時代に作られた刀剣や副葬品に用いられた装飾品がありました。このような装飾品は見たことがなかったので新鮮でした。
また、ポルトガルの大使が豊富秀吉にあてたキリスト教の日本での普及を認めることを願い出た手紙も国宝として展示されており、歴史の重要な局面の一端を垣間見た気がします。