小野竹喬の世界展 静岡市美術館

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静岡市美術館で開催の小野竹喬(おのちっきょう)の作品展です。小野竹喬は1889年生まれ、19世紀後半〜20世紀前半の画家です。この時代は世界では印象派のモネややルノワール、日本では横山大観など私たちがよく知る画家が活躍した時代です。小野竹喬は彼らより少し若いですが、その分彼らの影響を多分に受けた画家といえます。作風はモネやセザンヌの影響を受けているようで、また日本画で写実的な描写も試みたようです。彼の作品を見ることで日本画と西洋画の良さがどこにあるのかを感じることができます。西洋画は油絵という道具によってより光に対する写実的な描写を可能にしており、日本画は絹の柔らかさによって、全体的な描写、その場の空気感を印象的に表現するのに長けていると感じます。「夕映」という竹喬の作品では、鮮やかな茜色の夕焼けと水面に映る夕焼けの光が描かれていましたが、空の色は鮮やかな印象なのですが、水面に映る光の印象は控えめな印象でした。一方で、油絵で描かれた西洋画は、これまで見てきた絵からは、水面に映る光はとても写実的で神秘的な印象を受け取ります。
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この竹喬の作品は、草花を精密ではあるけれどもモチーフとして描きつつ、背景の空と雲にはリアリティがあります。草花と空の描き方の対比によって西洋画では出せない空気感を感じます。

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こちらは茜色の空を描いたものとのことですが、金泥を使うことで茜の空の眩さと、その場の凜とした空気感を視覚と肌で感じます。

 

 

 

 

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