パナソニック汐留美術館で開催の「ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合」展です。ル・コルビュジエは1887年から1965年まで生きたスイス生まれの建築家ですが、今回の展覧会は彼の絵画や彫刻が展示されていました。抽象画が多く、最初は難解に感じましたが、説明文において彼はすべてのものは調和へと向かうと考えていることがわかると、二人の女性の絵などはその調和を表しているのだなと理解することができました。全体を通じて彼の絵はとても哲学的な絵だと感じました。
そして、展示の最後に「やがてすべては海へと至る」という論考も掲示されていました。飛行機によって時代が加速的に進んでいくことを述べ、またインドのまちづくりのことに触れていました。都会と自然とを計算した上で、調和させることの楽しさのようなものを感じました。
ル・コルビュジエは戦争時代を生き抜いてきた人のようです。相当に大変な時代であり、そのこともあってか彼の作品は調和を目指すものだったと思います。おのずと絵や彫刻などの作品は抽象的になっていくし、鑑賞者には哲学的に受け止められることになったのではないかと。彼は調和を表現するために試行錯誤していたのではないかと勝手に思ったりしました。
ル・コルビュジエは「調和の表現者」、そんな印象を感じた美術展でした。