芸術×力 ボストン美術館展 東京都美術館

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東京都美術館で開催中のボストン美術館展のレビューです。2020年に開催予定だったのがコロナ禍の影響で2年遅れになったそうです。ボストン美術館が所蔵するアジアの作品を中心に60点ほどが展示されていました。目玉は2つあり、平治物語絵巻三条殿夜討巻と吉備大臣入党絵巻で、どちらも日本にあれば国宝級だそうです。

平治物語絵巻は、討ち入りの様子や放火の炎の迫力を感じることができます。吉備大臣絵巻はお茶目な印象でした。囚われた遣唐使の吉備真備が鬼となった阿部仲麻呂の助けを借りて困難を乗り越えていく物語ですが、その困難の乗り越え方が面白く、カンニングまがいであったり、インチキであったりととてもスマートなやり方ではありません。でも、2人で空を飛ぶ姿はとてもチャーミングで、微笑ましく思えます。何かのメッセージなり、教訓を含んだ物語だったのでしょうけど、そんなことは気にすることなく、ただただ見て楽しめる絵巻でした。

天皇の引越を描いた寛政内裏遷幸図屏風は天皇の威光が十分に伝わってくる屏風でした。行列の順番が興味深かったです。行列の最初は家財道具でそれだけで行列の半分ほどを占めます。そして中盤が天皇で、後に位の高い貴族や皇后が続いていたように見えました。

美術展全体を通して、作品間の関連は薄かったですが、作品ひとつひとつが持つ意味や意図が伝わってくるようでした。

2022年9月23日 掲載

 

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