Bluetoothワイヤレスケーブル Etymotion BT Etymotic Research社

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ER4XR、ER4SRなどEtymotic reserch社のイヤホンをBluetooth接続するためのワイヤレスケーブルEtymotion BTのレビューです。

iPad AirからiPad Proへ買い替えをしたところ、イヤホン端子がないためにER4XRをつなぐことができなくなってしまいました。すでに所持しているAirPods Proを使っていたのですが、Amazon Prime Videoで映画を観るようになって、どうしてもER4XRで映画を観たくなってしまいました。まず、Apple純正のUSBタイプC-イヤホン変換プラグを購入したのですが、残念なことにER4XRで音楽を再生することができませんでした。多分、インピーダンスの問題かと。ER4Sに比べてインピーダンスが低くなったとはいえ、他のイヤホンに比べたらまだ高いのでiPad Proでは動作範囲外なのでしょう。

そしてついに、Etymotion BTを手に入れました。AirPods Proでも不満はなかったのですが、私の音楽への感性はEtymotic Researchのイヤホンによって育てられたと言っても過言ではないので、Amazon Prime Videoを観ることを機に原点回帰することにしました。

さて、気になる音質ですが、有線とほとんど変わりません(僅かな印象の違いは後述)。ノイズや周波数特性が気になりますが、まずはスペックで認してみました。Etymotic ResearchのWebページを見てみると、DAコンバータ(DAC)には旭化成マイクロシステムズ製(AKM)のAK4331を使用していることがわかります。AKMはADC(ADコンバータ)、DACでは有名な日本の半導体メーカーです。パッケージ箱にもPowered by AKMとしっかり書かれています。日本人としては嬉しい限りです。データシートをみるとAK4331は32 bits、S/Nは109 dBとあります。サンプリング周波数は複数ありどれを使っているかわかりませんが、クアルコムの通信ICのスペックが48 kHz、24 bitsとありますので、この周波数と同じか、それ以上のサンプリング周波数で動作していると思われます。つまり、聴いた感じだけではなく、スペック上もEtymotion BTは音質において十分な性能を備えていることになります。ついでに、消費電力においてもAK4331は5 mWと低消費ですので、電池寿命の長寿命化にも貢献しているでしょう。さすが日本製です。

では、聞いた印象ですが、何回か有線、ワイヤレスを付け替えて聴いてみると僅かな違いがあることに気づきました。有線とワイヤレスが使えるiPhoneXで、同じイヤホンを何度か付け替えて試しました(このコネクタは何回も付け替えることを前提としていないので、付け替えを繰り返すとコネクタが壊れてしまうので注意と勇気が必要ですが)。私の印象ですが、有線の方がER4シリーズらしい音の粒感が優れていると感じました。というのも、最初は無ワイヤレスで満足しながら聴いていたのですが、有線で聴くといつも湧いてくる感動が、ワイヤレスだといつもよりすこしばかり感動が少なかったので、気になって有線に戻してみたらいつもの感動がよみがえって来たのです。何度か聴き比べてみると音の粒感が僅かに違うことに気づきました。この理由はスペックだけでは説明ができないと思いますが、推察するにBluetooth通信の信号圧縮による何らかの情報の欠落が考えられます。歪み率、ビット落ちなどが考えられますが、この辺りまでくると数字で示すのは難しいでしょう。あくまで感覚の話です。

さて使用感ですが、やはりワイヤレスはいいです。有線の煩わしさから解き放たれた開放感はそれだけで気分が上がります。最近はワイヤレスの便利さに負けてAirPods Proを使うことが増えていました。さらにAirPods Proは継続的なバージョンアップによって音質が進化し続けているのも魅力ですが、再生デバイスとしての原点の音を聞かせてくれるER4XRはやはり素晴らしいです。進化し続けるAirPods Proの音には感心しますが、ER4XRの音には改めて感動を覚えます。自分はやっぱり音楽が好きだったんだと改めて認識しました。

肯定的なこと否定的なこと色々書きましたが、映画を見る時、電車の中など騒がしいところで聴く時には、ER4シリーズとワイヤレスの組み合わせがベストです。ワイヤレスの便利さは、外出時にこそ発揮されます。また、外部が騒がしい分だけ、わずかな音の揺らぎはどちらにしても感じることは難しいので、無理に有線でがんばる必要もありません。映画の場合も、有線だとケーブルは邪魔だし、映像に感覚が奪われてしまいますので、音質だけに意識が向くことはできません。一方で、家の中や静かなカフェの場合は、有線での使用の方が感覚が他に奪われることがなく、より音の粒度を感じることができますので、音質重視となるので有線がいいでしょう。音楽を感情を大切にして聴きたい、音楽で集中をしたいときには有線がいいです。外出時や映画鑑賞において、一定レベル以上の良質な音楽を外でも聴きたい場合はワイヤレスがいいです。ただ、注意したいのはコネクタを何度も付け替えると壊れてしますので、いずれどちらかに固定して使うのがいいと思います。私はしばらく聴き比べをしますが(コネクタが壊れない程度に)。

いずれにしても、ER4XRの無線化、もっと早く試しておけば良かったと思わせてくれるEtymotion BTです。ER4XRにはこれからもお世話になります。

ER4XRのレビューは過去記事へどうぞ。

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2022-03-21掲載

 

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