画期的な展示手法 特別展 ポンペイ 東京国立博物館 平成館

f:id:ponponfront:20220319222906j:image特別展 ポンペイ 東京国立博物館 平成館の感想、レビューです。西暦79年に火山噴火で消滅したポンペイの街へタイムスリップします。従来の展覧会の展示手法の概念を変える画期的な展覧会です。上記の写真はこの展覧会で撮影したものです。

各展示品の当時の目的と役割がよく理解できます。各作品が視覚的にきちんと説明されています。当時のポンペイの裕福な人々は、立派な家を持ち、中庭があり、壁、床に肖像画、ギリシャ時代の絵を描いていたそうです。その家のミニチュアも展示されており、各作品がどのどのように飾られていたか、作品どうしのつながりと生活に与えた影響がよくわかりました。そのミニチュアに目の高さをおいてみるとまるでポンペイの時代にタイムスリップしたようで、当時の人々の生活や思いを想像することができました。フレスコ画もきれいな状態で見ることができ、大理石作品も艶やかな色合いを真近にすることができました。

従来の展示会だと、展示物とその目的は説明板に書かれていますが、作品が製作された当時、それがどのようにどこに置かれていたか、他の作品との関係はわかりませんでした。しかし、本展覧会では、その展示物が当時どのように置かれていたか、他の作品との位置関係やそれぞれが果たした役割がよくわかります。

復元やジオラマにより当時の様子を伝える博物館はありますが、当時の実物の作品を用いてジオラマ化し、当時の様子を演出した展覧会は私は初めてです。本物の作品が持つ力をまざまざと感じることができ、なによりその時代へタイムスリップした感覚になったことが従来の展覧会と大きく異なるところでした。歴史、人類に対する考察や想像を一歩進めさせてくれたこの手法は期待を遥かに超え、素晴らしく、意義があります。

www.tnm.jp

2022-03-19掲載

 

 

 

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